「ニュー・シネマ・パラダス」という古い映画がある。イタリアの田舎町にある映画館を舞台に繰り広げられるお話。映画館という“場”が意味をなしていていた時代の映画。何度か観ているが、その度にある種の琴線がくすぐられる映画だ。
春に向かう中、一瞬の陽射しが映し出してくれた影はふとアルフレードの笑った顔を蘇らせた。アルフレードというのはこの映画の主人公トト少年に大きな夢をくれた映画館の映写技師だ。
幼い時に、キラキラした時間を持てるのは当然のように思ってきたけれど、「そうでもないのかな」と悲しい事件を知るたびに胸が痛む。
あまりにも影が美しかったので立ち止まって写真を撮ったが、次の瞬間にはもう影って無くなってしまった。
子供時代もそんなものかもしれない。でも美しい影を見ることができたかどうかは大きな違いかもしれない。